新着情報

2025.08.08

PFASフリーと高耐熱性を両立した新しいアクリルゴムを開発しました

当社は持続可能な社会の実現への貢献を目指す取り組みの一環として、PFAS(有機フッ素化合物)フリーでありながら、フッ素ゴムに匹敵する高耐熱性と、それを上回る低トルク性能を実現した新しいアクリルゴムを開発しました。

 

 

■開発の経緯

近年、PFASの環境や人体への影響が世界的な社会問題となっています。2023年にはECHA(欧州化学品庁)から約1万種類に及ぶPFASの使用を原則禁止する規制案が発表されるなど、規制強化の動きが加速しています。特に、自動車部品や産業機械など、高温環境下で使用されるフッ素ゴム(PFASを含有)部品への影響が懸念されており、代替材料へのニーズが高まっています。

このような背景のもと、当社は長年培ってきたゴム材料技術を活かし、フッ素ゴムに匹敵する耐熱性に加え、低トルク・非粘性という優れた特徴を持つ新しいアクリルゴムの開発に成功しました。

 

 

■開発したアクリルゴムの主な特徴

1.持続可能な社会に貢献するPFASフリー製品

本開発品は、規制対象であるPFASを一切含まないゴム材料で環境リスクの低減に貢献します。

2.フッ素ゴムに匹敵する優れた耐熱性

190℃の高温環境下における物性維持率において、従来の高耐熱フッ素ゴムと同等の性能を発揮します。これにより、これまでフッ素ゴムが使用されてきた高温領域での代替が可能となります。(グラフ1参照)

3.フッ素ゴムを上回る低トルク・非粘性

独自の配合技術により、フッ素ゴムと比較して動摩擦係数(μ値)を13%低下することができました。(グラフ2参照)

 

 

■期待される用途

1.高温環境下で使用されるシール・ガスケット類

自動車のエンジン・駆動系部品、産業機械の油圧・空圧機器など(写真1、2参照)

2.コストダウンの実現

高価なフッ素ゴムからの置き換えにより、製品のコスト競争力向上に貢献します。

3.長寿命化によるメンテナンスコストの削減

一般的なアクリルゴム(ACM)と比較して耐熱性が大幅に向上しているため、部品の長寿命化を実現します。

 

 

当社は、これからも社会課題の解決に貢献する技術・製品開発を推進し、お客様の抱える問題の解決策をともに見つけ、新たな価値を創造してまいります。

そして、サプライチェーンで環境に優しい材料の開発・使用により、持続可能な未来の実現に貢献してまいります。

 

 

<お問い合わせ先>

中⻄金属工業株式会社

担当:軸受事業部 技術本部 ゴムグループ

〒530-8566 大阪府大阪市北区天満橋3-3-5

Mail:jikuuke-webinfo@nkc-j.co.jp



【写真1】オルタネーター向けベアリングシール
【写真2】自動車用コネクタシール(パッキン)
「グラフ1」 190℃雰囲気下での硬度変化
「グラフ2」 動摩擦係数評価

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