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  • 創業から戦火、復興、成⻑の1980年まで
  • 米国へ工場進出、80年代の海外戦略
  • フィリピン、中国に生産拠点
  • 経営近代化へ社内制度改⾰
  • 2024年⼀創業100周年を⾒据えて
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中西竜雄社長インタビュー

"選ばれる企業”をめざす

中西竜雄社長 ――2009(平成21)年5月、社長就任に際して、売上高1000 億円、経常利益100 億円の達成が「私の使命」といわれました。中期計画の目標実現のため、どのような道筋を描いておられますか。

中長期計画づくりには、社長室部長、常務のころからずっと携わってきました。計画のポイントは成長戦略です。どんなに経営環境が厳しくても、下方や横ばいはダメで、たとえ1%でも2%でも上向きの数字を目標に据えなければなりません。年間7%~8%成長すれば、5年で1.5倍になります。
直近の2011年度決算では、売上高が593億1100万円で前期比21.5%増。売り上げのみでなく収益面でも大幅に改善できたのは、売り上げ増による操業度効果、外注費の低減、生産性の改善など経営全般にわたる徹底したコスト削減の成果でもあります。
2009年度スタートの新5カ年計画の目標年度は2013年度です。売上高600億円前後では道半ばのような印象を与えますが、わが社の潜在的な実力では売上高700億円あたりとみていいでしょう。
その理由は、リーマン・ショック後にコンベアの受注価格が30%~40%近く落ち込んだからです。新興国に進出している国産車メーカーが価格競争にしのぎを削り、われわれにも厳しい指し値を求めてきました。“たら・れば”ですが、従来の価格水準なら200億円近く上乗せできています。

――経営全般にわたるコスト削減をどのように進めていますか。

これには不断の努力と決断が必要です。ここでは設計分野で取り組んだコストダウンの具体例を紹介しましょう。1997(平成9)年にわが社が工場進出したフィリピン・セブ島のNPCが舞台です。樹脂リテーナー、ゴムシール、戸車などを生産、全従業員776人を擁する主力工場です。
  1990年代から日本企業の進出が盛んで、プラントの日揮や三井造船などが現地に設計会社を設立、地元の大卒者に設計業務を任せていました。「大企業のやることは違うな」と思っていたところ、セブ島に中堅の常石造船(広島県)がドックを構えました。造船不況で船価が値崩れしフィリピンへ“脱出”したという話でした。この常石も現地スタッフに設計業務を委ねています。
  わが社は2004(平成16)年、セブ島の軸受工場の一角に、初めて輸送機の設計部門を置きました。最初はスタッフ5人でスタートしましたが、いまでは約100人を数えNKC CONVEYORS PHILIPPINES CORPORATION(NCP)という設計の別会社を設立しました。
NCPのスタッフは全員、現地で採用した大卒のフィリピン人です。彼らの多くは日本語検定の3~4級を取得、向上心に燃えています。それでもコスト面でいえば、設計業務を担当する日本人の日本でのそれに比べて十分な削減効果を発揮してくれています。彼らの設計スキルは100点満点の70点だとしても、それを補うコスト削減は大きい。本社の技術部スタッフには、それより2段階上のレベルを求めています。

――軸受事業ではこれからの課題として、世界シェアを更に高めていくこと、オリジナルで精度の高い製品開発を掲げていますね。

顧客の図面にプラス・アルファの改善提案をして、よりグレードアップした製品をめざしてほしい。量産品はやがて中国をはじめ新興国の主戦場になるでしょう。われわれは航空機、新幹線、工作機械などの分野での精密リテーナーで勝負したいと思っています。
軸受部門の売上高を上げるうえでカギを握るのが、非ベアリング部門への進出です。営業の勢いがつけば二の矢、三の矢を放とうと考えています。
2つ目がエンジン部品であるロッカーアーム。従来、鋳造でしかつくれないとされてきた部品を、わが社は16 工程のプレス加工で製品化に成功しました。この新製品はトヨタ自動車のエンジンにも採用され、従来の鋳造品に比べ大幅なコストダウンを可能にしています。
  プレス成形はわが社が長年培ってきた十八番の技術です。これを武器にさらに難易度の高いプレス加工品の開発を手がけてほしい。さらに軸受に占める非ベアリング分野の売上比率をさらに高めていきたいと考えています。

――ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)は、社長就任時にとりわけ強調されたテーマでしたね。

従業員1人1人が、個性と能力を最大限に発揮する最良の道、というのが経営トップとしての私の信念です。時間内に仕事上の責任を果たし、家庭生活でも世代に応じた多様な生き方を選んで充実した人生を送ってほしい。そのためにも欠かせないのが、自由で明るい職場の実現なのです。
  ワーク・ライフ・バランスには時代の要請があります。これから先の人口減少社会で、いかに優秀な人たちに来てもらえるか。それがわが社の将来を左右します。サラリーマン人生の報酬を大きく分ければ、賃金、労働時間、職場環境、やりがいの4つでしょうか。収入が多くても拘束時間が長いのは自分の価値観に合わない、という人たちもいると思います。
  日本では一部の欧米企業のようにまとまった夏休み休暇は無理でも、日本流のやり方はあると思います。たとえば週休3日制というような考え方です。
  もし、週休3日制が導入される時代になれば、わが社はそのトップ集団に入りたいと考えています。20年後には少子高齢化がさらに進んで労働力人口が大きく減退します。そんな時代に“選ばれる企業”をめざしたいのです。入社した人が、いつまでも働きたい、とモチベーションを上げれば、結果として業績アップにもつながります。
  3~5年ごとに社内制度を見直していますが 環境、安全、省エネの3項目を数値化し、目に見える職場改善の運動にしたい、と考えています。また日本では公的年金の受給開始年齢の引き上げの流れの中、定年延長も重要な課題で、現行の60歳定年を65歳まで延長するかどうか、いま検討中です。65歳までの心づもりができれば頑張れるし、人生設計も立てやすくなります。

――最後に、経営トップとして心の礎にしていることは何ですか。

私は入社してまもなく、輸送機部門のリストラを体験しました。希望退職者を募るわけですが、その過程ではとてもつらい思いをしました。その後、軸受部門でも同様のリストラを行いました。そのときどきに心に刻んだことは、企業は健康体でなければ生き残れない、ということでした。利益を確保しながら成長する、それが経営者としての原点です。