ロゴ

  • 創業から戦火、復興、成⻑の1980年まで
  • 米国へ工場進出、80年代の海外戦略
  • フィリピン、中国に生産拠点
  • 経営近代化へ社内制度改⾰
  • 2024年⼀創業100周年を⾒据えて
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回すのはキミだ。

中西金属工業株式会社(NKC)

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ノイエス設立、ベンチャーを育成

天満の男子寮をインキュベーションに

  2003(平成15)年10月、中期5カ年計画の目玉事業として、新事業を担当するノイエスが設立された。本社の新規事業開発室を発展的に改組したものである。この年4月から、本社敷地内にあるもと独身寮を「天満インキュベーション・ラボラトリー」(TIL)と名づけ、ものづくりベンチャー企業を長期的に側面支援する事業をスタート、ユニークな試みとしてマスコミにも取り上げられた。

  会社発展のため、将来を見据えながら、新しい事業のタネを見つける。TILにはそんな願いが込められていた。最初の入居者は松下電器産業(現・パナソニック)を定年退職した松本功氏。ハイブリッド自動車(HEV)に使う次世代のニッケル電池を開発する新会社、M&Gエコバッテリー研究所を興し、TILを拠点とした。わが社は電極を加工する機械の金型製作で協力、経産省への補助金申請にこぎつけた。M&G はその後TILを離れたが、共同研究は2010(平成22)年3月まで続き、わが社は機械の所有権をM&Gに譲渡して役目を終えた。

  現在、入居している20社の半分は機械や電気制御関係のものづくり系で、残りがIT関係、コンサルタントなどのサービス系。ベンチャー企業支援の任意団体、ベンチャーコミュニティーの一柳良雄初代代表は、元近畿経産省局長という経歴の持ち主である。

 

「EVトライク」一番乗りめざす

  インキュベーション事業ではまだ新規事業の発見にいたってないが、ノイエス自身が取り組んでいるのが、電動三輪車「EVトライク」の開発である。2010(平成22)年9月から、京大発のベンチャー企業、グリーンロードモータース(GRM)と共同で進めている。本田技研工業の「ジャイロ」をガソリンではなく電気で走らせるイメージで、実用化のメドがつけば、電動フォークリフトのコレックでの製作を視野に入れている。

  2011(平成23)年秋にはEVトライクの試作車を2台つくり、京都市内でテスト走行を繰り返している。試作車のモーターは日本電産、バッテリーは三洋電機の協力を得ている。

  EV トライク開発のキーマンは京都工芸繊維大学の藤戸幹夫教授。元日産自動車のデザイナーで、電気自動車の開発をめざすGRMとも関係が深い。オートバイつながりで中西竜雄社長と藤戸教授が接近、EVトライクという話に発展した。宅配用の商用車、おしゃれなショッピング・バイクとして二輪車市場へ食い込みたい、と2012(平成24)年中の発売をめざしている。「いの一番、日本の電気三輪車」がまもなく誕生する。

EV トライク試作車

EVトライク試作車

 

時代の風をうけて小型風力発電機

  最後に小型風力発電機を取り上げよう。もともと天満製鈑にあったEPD室で開発、製造したもので、NMC(米国)の初代社長を務めた中西昇のニューエネルギーへの執念が実ったといわれている。TILに入居していたテクノコア・インターナショナル(高岡浩実代表)の蓄電池技術を活用して製品化。東京・数寄屋橋のマリオン、イオンモールなどの商業施設や公園、街路にモニュメント的な装置として導入が進んでいる。

  2008(平成20)年には緊急災害時に特化した風力発電機「カリオスN400」を開発、発売している。新製品を紹介した新聞記事によると、毎秒6mの風速で100Wの発電が可能で、停電時には避難誘導灯にもなる。バッテリー電源のACコンセントを内蔵しているため、非常時にラジオ、無線機、携帯電話などの電源としても使用できる。ブレード長が1m前後、高さ5m程度と小型なため、都市部での設置も簡単という。

  2009(平成21)年には、太陽光と風力を利用して発電しながら、非常用の飲料水をつくる新しいシステムを開発した。従来の発電機に浄水装置を付設したもので、造水能力は1時間当たり15 リットル。公園や学校などの避難場所に設置すれば、池や河川の水を飲料水に変えられる。東日本大震災など自然災害への備え、原発事故による自然エネルギーへの転換という時代のニーズを取り込んで、自治体向けに売り込んでいる。