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  • 創業から戦火、復興、成⻑の1980年まで
  • 米国へ工場進出、80年代の海外戦略
  • フィリピン、中国に生産拠点
  • 経営近代化へ社内制度改⾰
  • 2024年⼀創業100周年を⾒据えて
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回すのはキミだ。

中西金属工業株式会社(NKC)

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国内工場の新増設と再編急ぐ

コンベアの滋賀工場に耐久実験棟

  米国への工場進出をはじめコンベア(輸送機)、リテーナー(軸受)両事業部の海外展開 に多くの紙幅をさいてきたが、1970年代から1980年代に至る国内の生産拠点、工場の状況を整理しておこう。主柱をなすリテーナーの年間売上高は1983(昭和58)年時点で92 億円、業界のシェア70%を確固としたものにしている。一方、コンベアも、産業界の省 力化投資を背景に、売上高76億円という大木に成長した。

  コンベアの主力は滋賀県湖南市の工業団地にある滋賀工場(敷地面積4 万3400㎡、建物面積2万2000㎡)で、組立工場は1973(昭和48)年から1980(昭和55)年まで3期に分けて建設され、その後、製缶工場(1981年)、制技棟(1982年)、1次加工工場(1985年)、耐久実験などを行う西工場(1986年)が相次いで完成。電動フォークリフトを主力製品とするコレック工場(1980年)も、敷地の一角にある。  コンベアシステムのユニット(台座、レール、チェーンなど)は、国内用なら大型トラックに、海外向けならコンテナに収まる程度で長さ5m、幅2m前後。現地で据付工事を行い、連続的な生産ラインとなる。ほとんどが自動車メーカー向けのラインで、受注先はトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業など国内11社とゼネラルモーターズ社、フォード社、クライスラー社、フォルクスワーゲン社などである。リテーナー工場と違い、プレス機械は350トン1台のみだった。

  西工場の試作実験ラインが輸送機部門の特色の1つ。ここではリニアモーターコンベア、ロボットアーム式移動装置、フロアーモートレインなどの耐久試験を実施する一方、荷降ろし専門のベルト降ろしDL装置や蓄電装置などを開発している。自動車の車体をまるごと塗装液のプールに浸す“ジャブ付け塗装”もある。ただ、クルマのモデルチェンジに応じてラインの形態を変えねばならず、日進月歩の対応が求められている。

 

名張に最新鋭のリテーナー工場

  リテーナー部門では1984(昭和59年に名張工場を新設、創業60周年の記念すべき年にわが社8番目の工場として完成した。テーパー・ローラーベアリング・リテーナー量産品の無人化生産体制をめざしたもので、近代化路線によって築かれたわが社の総力を結集した最新鋭工場である。創業記念日直前の6月12日、中西一雄社長出席のもと、関係者多数を招いて竣工披露式を行い、本格的な操業に入った。

  1987(昭和62)年には樹脂リテーナーの工場を増設、さらに1990(平成2 )年には樹脂用の金型工場と試作室を併設した。大阪の冶工具工場の機能を全面的に移管したもので、ゴムシール金型も含め名張工場がわが社の金型センターの役割を果たすようになった。

  同じ三重県下の久居市(現・津市)にある三重工場は、1960(昭和35)年に設立された歴史ある古い工場だ。1965(昭和40)年に現在地に工場が新設され、リテーナーの本格生産工場として、わが社発展の基礎づくりに貢献してきた。1985(昭和60)年、ゴムシールの生産を手がけていた三重化工を合併、新たに三重中西金属として再スタート、以後、量産品のラジアル・リテーナーとゴムシールを製造している。

 

PAC手法で大阪工場リニューアル

  名張工場が比較的小さなリテーナーの量産品を手がけるのに対し、大阪・寝屋川市にあ る大阪工場は、直径が300ミリを超える大型リテーナーを中心に扱っている。1万2000型番という多品種少量生産が特色で、工場の操業は1961(昭和36)年と古い。

  新幹線の車軸用ベアリングのリテーナーや航空機、産業機械、建設機械向けなどを得意としている。

  1989(平成元)年、本社天満工場にあった500トン、800トンといった大型プレス機械を寝屋川の大阪工場に移転した。天満工場周辺にマンションや戸建て住宅が密集、近隣への騒音振動対策などもあって、大阪工場に大型生産設備を集約、生産ラインなどレイアウトの見直しを行った。当時、大型テーパーラインを担当した1976(昭和51)年入社の猪岡康治・総務資材部長は、「PAC手法を用いた」と回想する。

  PAC手法とは、パフォーマンス、アナリシス、コントロールの頭文字で、人の動作を分析して標準時間を設定するのに用いられる。製品の取り置きや移動を可能な限り少なくするものの、ぎゅうぎゅうにすると人の動きは鈍くなる。川上から川下に向けてどれだけモノがスムーズに流れるかが、生産現場の効率化につながる。こうした生産管理のノウハウは、大阪工場に限らず、わが社のすべての工場で生かされていった。  工場の悩みの種として、芯抜き、ポケット抜き、縁切り、内径抜きなどの工程で出るスクラップの処理があった。その量は使用する鋼板の約7割に及び、効率的な回収、再利用がコスト面からも要求される。そんななかで、工場の床下にコンベアを通し、それぞれの工程で出た鉄くずを1カ所に集めることにした。このアイデアも工場長、課長クラスから出たもので、猪岡は「現場の声を大事にしたい」と強調している。

 

滋賀工場 名張工場
名張工場(樹脂)無人化生産体制 滋賀工場(西)試作実験ライン
三重工場  

三重工場ラジアルリテーナー検査職場